平成十二年九月十二日受領
答弁第二号

  内閣衆質一四九第二号
  平成十二年九月十二日

内閣総理大臣 森   喜  朗

衆議院議長 綿貫民輔 殿

衆議院議員石井紘基君提出徳山ダム地域水道事業に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。


衆議院議員石井紘基君提出徳山ダム地域水道事業に関する質問に対する答弁書

一の1について
 水道事業及び水道用水供給事業に係る国庫補助については、地方公共団体が行う水道事業及び水道用水供給事業の用に供する水道水源開発施設、水道広域化施設等の整備に対して国庫補助を行うこととし、水道水源開発等施設整備費国庫補助金交付要綱(昭和六十三年五月二十日厚生省生衛第八百七十七号厚生事務次官通知)及び簡易水道等施設整備費国庫補助金交付要綱(昭和四十四年五月八日厚生省環第四百五号厚生事務次官通知)(以下「交付要綱」という。)において、交付の対象、補助対象事業費、交付額の算定方法等を定めており、その概要は別表一のとおりである。また、水資源開発公団が行う水道水源開発施設の整備に対して国庫補助を行うこととし、水資源開発公団水道水源開発施設整備費補助金交付要綱(昭和六十二年五月十三日厚生省生衛第三百二十九号厚生事務次官通知)において交付の対象等を定めており、その概要は別表二のとおりである。
 これらの国庫補助金については、補助金等に係る予算の執行の適正化に関する法律(昭和三十年法律第百七十九号)等に基づき、適正に交付決定、補助金額の確定等を行っているところである。

一の2について
 「新しい全国総合水資源計画(ウォータープラン二十一)」は、平成十一年六月、国土庁において、全国を十四のブロックに分けて平成二十二年から平成二十七年を目標年次とする水需給等に関する推計を行ったものである。一方、水道事業経営の認可申請の際に提出される事業計画書では、各水道事業者が地域の実情に応じた目標年次を設定し、給水量等を記載しているものである。新しい全国総合水資源計画と各水道事業者の事業計画は対象地域や目標年次が異なっており、相互に比較できる性格のものではないと考えられ、お尋ねのような調査を行うことは困難である。
 また、厚生大臣又は都道府県知事の水道事業経営の認可に当たっては、事業経営に支障を来すような過大な投資が行われることのないよう、適切に指導することとしている。

一の3について
 お尋ねの「水道事業経営が行き詰まった自治体」とは、どのような事態を指すのか明らかではないが、各水道事業者は、事業計画において、給水量、収支等を的確に見込んだ上で、事業経営に当たっているものと考えている。

二の1について
 水道事業及び水道用水供給事業については、水道水の使用量等に応じた料金体系を設定し、一定期間内の事業経営に要する費用に充当するために必要な金額を賄う必要がある。
 お尋ねの愛知県企業庁の水道水の料金についても、このような考え方に基づいて設定されたものであり、本年三月の同県議会において条例改正が行われ、本年六月からその引上げが施行されていると承知している。

二の2について
 名古屋市が確保している徳山ダムに係る水道水源については、平成十二年七月に同市が公表した「名古屋新世紀計画2010計画案」において「水源の多系統化に配慮しつつ、長期的な視点に立って、水質・水量が良好で安定した水源を確保することができるよう、水資源開発公団の行う徳山ダム建設事業に参加し、上水道で毎秒二・○立方メートルの新たな水利権を取得します。これにより、渇水時にも安定した供給ができるようにします。」と説明されている。政府としても、近年の少雨化傾向により渇水が頻発していることに対応し、各水道事業者が安定的な取水を可能とするための水源を確保することは重要であると考えている。

三の1について
 大垣市及びその周辺における地盤沈下は、昭和六十三年から平成十年までの十年間で六センチメートル以上を記録した地点がある等、現在も継続的に進行しており、同地域の水道水源を地下水から表流水へと転換する必要性が認められる状況にある。このため、政府としても、濃尾平野地盤沈下防止等対策要綱(昭和六十年四月二十六日地盤沈下防止等対策関係閣僚会議決定)において、大垣市ほか二十四市町を観測地域として位置付け、地盤沈下等の状況の観測又は調査を行うとともに、関係地方公共団体と連携を取りつつ、地下水採取の自主規制の継続等を指導しているところである。なお、大垣市等の水道水源のうち表流水に転換される具体的な水量については、岐阜県における地下水保全対策に係る検討結果を勘案した上で、今後各水道事業者において決定されることとなる。

三の2の(一)及び(二)、三の3の(四)並びに三の4の(五)について
 岐阜県が確保している徳山ダムに係る水道水源の具体的な利用方法については、今後、岐阜県において、地下水の保全、水道の広域化、安定的な給水体制の確保等を考慮しつつ、関係市町村との調整が行われるものと承知している。

三の3の(一)について
 御指摘の揖斐川町水道事業の第四次拡張計画においては、現在までのところ、交付要綱に定める補助対象施設の整備は行われておらず、国庫補助金の交付実績はない。

三の3の(二)及び(三)について
 平成九年六月の水道事業経営の変更認可の際に、揖斐川町から岐阜県に対し、平成十七年度の同町の給水人口を一万六千六百人とし、一人一日最大給水量を六百九リットルとする事業計画書が提出されているが、平成三十年における同町の給水人口及び一人一日最大給水量の予測は行っていない。なお、「新しい全国総合水資源計画(ウォータープラン二十一)」は、一の2についてで述べたように全国十四ブロックごとの水需給等を推計したものであり、これを前提としてお尋ねのような個別市町村の給水人口等の試算を行うことは困難である。

三の4の(一)について
 御指摘の大垣市第四次拡張(変更)計画においては、現在までのところ、交付要綱に定める補助対象施設の整備は行われておらず、国庫補助金の交付実績はない。

三の4の(二)について
 平成六年三月の水道事業経営の変更認可の際に、大垣市から厚生省に対し、平成十五年度の同市の給水人口を十五万八千百人とする事業計画書が提出されているが、平成三十年における同市の給水人口の予測は行っていない。なお、「新しい全国総合水資源計画(ウォータープラン二十一)」は一の2についてで述べたように全国十四ブロックごとの水需給等を推計したものであり、これを前提としてお尋ねのような個別市町村の給水人口の試算を行うことは困難である。

三の4の(三)について
 御指摘の大垣市第四次拡張(変更)計画については、平成六年三月に厚生省において認可しているが、当時における確実な水源の確保という観点から、水道水源のすべてが地下水とされたものであり、適正なものであると認識している。

三の4の(四)について
 大垣市における平成三十年までの水道水源の確保の在り方については、今後、水需給の動向、地下水の保全の状況等を勘案しつつ、大垣市において判断されるべきものと考えている。

三の4の(六)について
 お尋ねの大垣地域における平成三十年の給水人口等の予測は行っていない。なお、「新しい全国総合水資源計画(ウォータープラン二十一)」は一の2についてで述べたように全国十四ブロックごとの水需給等を推計したものであり、これを前提としてお尋ねのような個別地域の給水人口等の試算を行うことは困難である。

四の1について
 東海地域においては、水道の断減水につながるような渇水が多く発生しており、また、近年は東海地域を含め全国的に少雨の年と多雨の年との間の降水量の差が大きく、渇水年における水資源賦存量(ある地域に降る雨の総量から蒸発散によって失われる量を除いた量をいう。)が減少していることから、水道事業者における利水の確実性が低下する傾向にある。
 厚生省においては、利水の確実性の向上を図り、水道水の安定供給を確保するため、水源の有効利用の観点から広域的な水道の整備を促進するとともに、必要に応じ、水道事業者等が連携して、渇水時に備えるためのダム等の水道水源施設を整備していくことが適当であると考えている。

四の2について
 渇水対策については、その目的に応じて適切な費用負担が行われる必要があり、具体的には、河川の流水の正常な機能の維持を目的とする対策については当該河川に係る治水関係者において、水道水の安定的供給を目的とする対策については当該水道水に係る水道関係者において費用負担が行われるべきものと考えている。

四の3について
 現在、水道普及率は九十六パーセントを超えており、水道の給水制限や停止が国民生活に与える影響は極めて大きい。
 厚生省においては、渇水時における利水の確実性を向上させるため、施策の効果を勘案した適切な費用の範囲内で、水道事業者等が水道原水を貯留する施設、水道水を相互に融通する施設等の広域的な水道施設等の整備を推進するとともに、水道事業者等が連携して渇水時に備えるためのダム等の水源施設を整備していくことが適当であると考えている。

別表第一

補助の区分
交付対象
補助対象事業費
補助率
水道水源開発施設整備費 地方公共団体 水道事業又は水道用水供給事業の用に供するダム、海水淡水化施設等の水道水源開発施設の整備費 単位有収水量当たりの資本単価等に応じ、三分の一又は二分の一
水道広域化施設整備費 地方公共団体 市町村の区域を超える水道広域化施設の整備費 単位有収水量当たりの資本単価等に応じ、四分の一又は三分の一
高度浄水施設等整備費 地方公共団体 各種化学物質、湖沼の富栄養化等による水道水源の汚染に対処するための生物処理等の高度な処理を行う浄水施設等の整備費 単位有収水量当たりの資本単価等に応じ、四分の一又は三分の一
浄水場排水処理施設整備費 地方公共団体 浄水場から排出される排水による河川等の水質汚濁を防止するための施設の整備費 四分の一
水質検査施設等整備費 地方公共団体 水道事業者等が共同で設置し、若しくは利用する水道水の水質検査施設又は水道事業者等が連携して体系的かつ効率的な水道水源の監視を行うための水道水源自動監視施設の整備費 四分の一
ライフライン機能強化費 地方公共団体 貯留機能を合わせ持つ大容量の送水管の整備費又は災害復旧に伴い基幹管路を耐震化するための事業費 大容量送水管整備費については三分の一、基幹管路耐震化事業費については二分の一
水道管路近代化推進事業費 地方公共団体 石綿セメント管の更新等を行うための事業費 単位有収水量当たりの資本単価等に応じ、四分の一又は三分の一
簡易水道等施設整備費 地方公共団体 水道未普及地域解消のための簡易水道施設等の新設、簡易水道再編のための簡易水道施設等の再編整備等を行うための事業費 財政力指数等に応じ、四分の一、三分の一又は一○分の四


別表第二

補助の区分
交付対象
補助対象事業費
補助率
水道水源開発施設整備費 水資源開発公団 水資源開発公団が行う水道水源開発施設の新築又は改築に要する費用のうち、水道事業者又は水道用水供給事業者が負担することとなる額 単位有収水量当たりの用水単価等に応じ、三分の一又は二分の一