平成十二年八月四日提出
質問第一〇号

徳山ダム建設事業地域に棲息する大型猛禽類に関する質問主意書に対する答弁書(内閣衆質一四七第一三号)に関する質問主意書

提出者  石井紘基

徳山ダム建設事業地域に棲息する大型猛禽類に関する質問主意書に対する答弁書(内閣衆質一四七第一三号)に関する質問主意書

 2頁3行め「イヌワシDつがいの生息環境についての適切な保全対策を講じる必要があると考えている」とのことであるが、5月23日の「起工式」以前に有効な保全対策が講じられたとは聞いていない。
 適切な保全対策が立てられているというなら、直ちに公表されたい。なぜそれが公表されていないのかお答え願いたい(昨年NACS―Jにデータの分析を依頼した経緯からしても、少なくともNACS―Jには、保全対策の詳細を提示するべきである)。また環境庁として「適切な保全対策」であるか否かの評価もお答え願いたい。
 仮にいまだ適切な保全対策が立てられていないとすれば、「必要があると考えている」との文言に責任を持つためにも、環境庁として必要な指導を行う(5頁6行め)べき場面であると考えるがいかがか。

 3頁5行め「飛翔記録の頻度や営巣等の状況を踏まえれば、・・・すべてに甚大な影響を与えるものとは考えられない」とある。しかしNACS―Jの指摘では、影響の有無・程度について、科学的な判断をするだけのデータが存在しないとのことであった。従って、環境庁がこのような見解を出すからには、NACS―Jより高度な知見をもって判断されたかのように見える。このことは、4頁1行めの「ダム関連工事と工事予定地周辺におけるクマタカの繁殖の成否との関係については、環境庁において十分な知見を有しておらず、その因果関係は明らかではない」との叙述と矛盾すると考えられる(工事と繁殖の成否との因果関係を把握しえない環境庁が、どの個体について「甚大な影響なし」と判断しうるのかが理解できない)。
 どの個体にどの程度の影響があるか、どの個体には甚大な影響なしと判断できるのか。環境庁としての見解とその根拠を示されたい。
 仮に「『すべてに甚大な影響が有り』とは判断する根拠を持たない」の謂いとして、上記の表現を使われたのであれば、大きな誤解を招く表現であり、環境行政を預かる官庁としてはまことに無責任な表現であると考える。上記表現を撤回されたい。

 全体として「保護への配慮がなされていくものと考えている」(1頁11行め)「保全対策が講じられるものと考えている」(2頁6行め)「検討が進められるものと承知している」(3頁12行め)「適切な対応が図られていくものと考えている」(最終頁最終行)との表現が目立ち、環境庁としての責任の所在が不鮮明である。
 これまでの公団の対応が環境庁が「考えている」通りではなかったことは、昨年のクマタカFつがい繁殖失敗の件、徳山ダムワシタカ研究会委員辞任、NACS―Jの指摘などで、度々明らかになってきている。この事実を踏まえた、新たな段階の対応が求められている。環境庁として積極的な「助言と指導」を求めたい。

 右質問する。