構造改革のための25のプログラム
第三節 国家予算の半減
プログラム二〇
「中高年100万人のボランタリー公務員制度」をつくる

 このように公共事業費の削減や補助金の大幅カットを実施すれば、経済に対し一時的に大きな負の作用を及ぼすことは避けられない。多数の職員等が一時的に失職するからだ。先にも述べた通り、総体で二〇〇万人と想定される失職が、金融では政府系金融機関、不動産・土木建設では中央・地方の特殊法人などと相当数の系列子会社で発生する。この一大失職状況への適切な対応こそ、構造改革戦略の要諦となる。
 政治の舵取りとして重要なことは、これまでは行政企業が掌握してきたビジネス領域で民間企業が自由に腕を振るえるよう、税制、金融、法制度面等で十分な環境整備を行うことである。同時に、徹底した労働時間の短縮、長期休暇制の導入、賃金体系の見直しも必要だ。さらにたとえば地方の土建会社のような、公共事業需要によって生きてきた民間企業などに対しては、自然環境保全事業や福祉環境・教育環境整備事業などにシフトできるよう、政府の誘導と支援が必要である。
 そのさい、将来の高齢化・健康文化社会に向けて、あるいは経済活性化のためにも、都市と農村の大交流策を打ち出すべきだ。たとえば、農村地方に都市住民が一定面積の土地、菜園、建物を取得することや、あるいは大学などの文教施設や医療・福祉施設の移転・建設に対して、大幅な優遇措置を講じるのだ。これによって地域の自立的経済活動を盛り上げることができる。
 こうした一連の積極的な新しい社会を築くためには、多様な技能や知識、意欲を持って、これを手助けする相当な人材が必要となる。これには公に奉仕する社会経験豊かな五〇歳以上の中高年こそ出番である。半ば、ボランティア精神で次世代社会づくりの役割を果たしてもらうべきであろう。このために「中高年一〇〇万人のボランタリー公務員制度」を導入し、福祉や社会教育、職業・技術指導、伝統文化や環境保護事業、生活支援など幅広い分野・地域に中高年を動員すべきである。