構造改革のための25のプログラム
第一節 官企業の全廃がもたらす経済の覚醒
プログラム七
住宅ローン証券化で公庫を保証機関にする

 住宅金融公庫の貸付金残高は平成一二年度末で七六兆円に達している。財投からの借入残高は七四兆八〇〇〇億円で、これまでに国が支出した補助金の累計額は九兆二〇〇〇億円である。今日これほど巨額の金融事業を政府機関で担うことは市場経済にとっても国の財政負担にとっても大きなマイナスである。
 私は平成九年三月の衆議院建設委員会において、住宅金融公庫(住公)の保証機関化と住宅ローンの証券化を提唱した。
 その意義は大きい。まず、民間金融機関のローン提供能力が向上するなかで、七六兆円という大規模な融資事業が住公からみんかんに放出されれば、民間金融市場の活性化に役立つ。
 一方、住公は保障機関として主に低所得者層への国の住宅政策遂行を助ければよい。当面は代位弁済等のほか、必要な利子補給を行える体制はあってもよいが、住宅ローンの証券化によって利子の引き下げ、保証資金のストックが可能となる。
 わが国の証券体制も、確実性の高い住宅ローンの証券事業に十分成功し得るレベルに達していると思われる。住公が、当面政府機関として(将来は民営化)保証すれば、七六兆円を超える住宅ローン債権を魅力的な金融商品(資産)として市場化することができ、回収された資金を新たな有望企業などに貸し出すことができる。
 住宅ローン債券を購入した投資家には、政府保証つきであることにより、安定した利息収入が得られるため、市場の活性化と高い経済効果が期待できる。住公の中宅ローンには多数の代位弁済、ローン破綻が出ている現状を見るとき、ローンを借りる当事者にとっても「借り易さ」や返済条件において決して不利になるものではない。むしろ制度面において、従来より借り易く、利用者に有利にすることは十分可能である。
 ちなみにアメリカでは、政府機関が信用を補完した住宅ローン証券(MBS)市場が七〇兆円規模の産業に発展し、「ファニー・マエ」「ファニー・マック」および「GNMA」の三社が住宅ローン債券の流動化機関として順調に活動している。たとえば「ファニー・マエ」(Fannie Mae)は一九三八年に一〇〇%政府保有の会社として設立された後、一九六八年に民間会社となり、一般の住宅モーゲージローンの取得も認められるようになった。「ファニー・マック」(Fannie Mac)は一九八九年に同様の形態となった「GNMA」は住宅モーゲージの二次市場の信用を補完する政府機関である。
 アメリカの住宅金融はモーゲージ融資が一般的である。モーゲージ融資とは、融資を担保するために不動産等に抵当権を設定する融資方式であり、債務者が債権者に対して人的に返済を約束する契約証書やこれを法的に保証する書類の総称、または、その融資方式そのもののことをいう。
 モーゲージは自己資産として保有することも、流動化して第三者に譲渡することも可能である。モーゲージを担保として発行させる証券が売買される二次市場の成立も可能となる。このような仕組みを日本でも発達させていきたい。